「来てよかった」と思える胃カメラ

胃カメラで病名がわかると治療方針も決まるので医師・患者双方が納得できますが、前述のようにそれは1割のみ。医師の実力が問われるのは、残りの9割の方(検診目的の方は除く)に満足の行く説明と治療ができるかどうか、だと思います。
当クリニックで検査を希望された理由の大半は「過去の胃カメラが苦しかった」「初めてなので経鼻内視鏡を」といったところ。しかし、「胃が悪いので胃カメラをした。軽い胃炎と言われて薬をもらったけれどよくならない」という訴えがとても多いのが気になります。

「口から肛門」を「管」と考える

近年、このような方が急増しているのを背景に、検査で異常がないのに消化器症状が続く病態を、機能性ディスペプシア(FD)、非びらん性胃食道逆流症(NERD)などと呼ぶようになりました。食物を胃から排出するのに時間がかかる事などが原因で、消化管活動調節薬やストレス緩和薬による治療が提唱されています。しかし詳しく問診をすると、これらの薬だけで改善する方は一部です。 他に解決方法はないのでしょうか?

実は、「胃カメラの9割が異常なし」の中に、治療が効かないFDやNERDが含まれています。癌や潰瘍などが粘膜の表面になければ異常なしと診断されますが、前述の「9割の方の症状をどう治すか」という視点からは、粘膜が正常でも胆汁が多量に逆流しているならば治療につながる異常です。これは主に、大腸が詰まり気味だから上に逆流するしかない状態になっています。
このような場合、便秘の自覚はなくても詳しく問診すると「出てはいるが不十分かも?」と答える方は少なくありません。また、胃カメラをする前に慎重に診察すれば、舌の所見や口臭・体臭、口内炎の有無、腹部の冷たさなどで診断がつきます。

食べ物は口から入って肛門から出ます。胃や大腸はその通過路の一部分ですから、別々に診断や治療をするのは不自然ではないでしょうか。